皮膚病のタヌキ 旧田辺市で年々増加
紀伊民報 6月30日(月)16時52分配信
皮膚病のタヌキ 旧田辺市で年々増加
【民家近くに現れた疥癬タヌキ(和歌山県田辺市下万呂で)】
和歌山県の旧田辺市で、野生動物が発症すると致死率が高い皮膚病「疥癬(かいせん)」に感染するタヌキが増えている。市からの依頼で疥癬タヌキを調べているふるさと自然公園センター(同市稲成町)の鈴木和男さんの調査で分かった。2013年度は沿岸域にも広がり、13地区で67匹を記録した。今後、沈静化するには数年かかるとみられている。
調査報告によると、市全体では、09年7月に龍神村で疥癬タヌキが初めて確認され、その後、中辺路町や本宮町、大塔地域へと広がりを見せている。旧市で本格的な流行は11年秋ごろからで、記録数も同年度に28匹、12年度57匹、13年度67匹と年々増えている。
旧市内の地区でみると、11年度は三栖と秋津川、上秋津の山間部に集中していた。12年度は三栖と長野が多いものの、秋津町や新庄町、上屋敷など広範囲に広がりを見せた。13年度では秋津町や稲成町で記録が多く、江川や上の山、芳養など沿岸域でも確認されるようになり、旧市全体に広がった状態となった。
鈴木さんは「記録数の推移から、旧4町村では感染のピークを過ぎ、旧市内ではピークを迎えている段階だと思う」と話している。
疥癬 センコウヒゼンダニという微少なダニが皮膚に潜行寄生して起こる病症。発症した動物は絶えがたいかゆみのため、かいたりこすり付けたりして全身の毛が抜けてしまう。このダニは人の皮膚では増殖しないため、人が感染しても悪化しにくいという。ペットのイヌが疥癬タヌキと接触した場合には感染する可能性がある。